のりもの博物館メニュー

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日本の鉄道開業!その幕開けをかざった蒸気機関車のゆくえは?

 日本で鉄道が開業したのはいつなのでしょう?それは、1872年のこと。新橋駅から横浜駅(現JR桜木町駅)の間で日本初の鉄道が正式に開業しました。

 当時の日本には、鉄道の建設やそれを運営するための技術や方法がありませんでした。そのため、その技術や方法はすべて鉄道発祥(はっしょう)国であるイギリスにたより、機関車もイギリスの車両製造会社に10両注文しました。その10両の機関車は、日本で完成検査を受けた順に1号から10号まで番号が付けられました。

 現在、新橋駅から横浜駅間を走った10両の蒸気機関車はこわされたり海外に行ってしまったりして多くが失われて、日本に現存するのは2両だけです。鉄道博物館(埼玉県)に展示されている150形蒸気機関車と青梅(おうめ)鉄道公園(東京都)に保存されている110形蒸気機関車です。開業当時、150形蒸気機関車が1号機関車、110形蒸気機関車が10号機関車でした。

 今残っている2両は改造されたり、内部構造を見せるためボイラーを切開されたりしていますが、日本の鉄道の開業の幕開けをかざった車両が残っているのはとてもうれしいことではないでしょうか。

※110形蒸気機関車は、1876年に改番されて3号機関車となりました。そのため、青梅(おうめ)鉄道公園では110形蒸気機関車を3号機関車と紹介(しょうかい)しています。

150形蒸気機関車(鉄道博物館)

110形蒸気機関車(青梅〈おうめ〉鉄道公園)

日本の自動車開発ことはじめ

 自動車の歴史は、鉄道よりも古いと言われています。 イギリスで蒸気機関車が生まれたのは1804年のこと。その約40年前、フランスの軍事技術者ニコラ=ジョセフ・キュニョーが蒸気自動車を発明しました。これが世界初の自動車だと言われています。

 日本で初めて作られた自動車も蒸気自動車です。1904年に、岡山県に住んでいた技術者山羽虎夫さんが発明しました。それが、現在トヨタ博物館(愛知県)に模型が展示されている「山羽式蒸気自動車」です。試運転で、蒸気自動車は順調に走りましたが、走行中に車のある部分でトラブルが発生したのです。それは、“タイヤ”でした。当時、空気を入れてタイヤをふくらませる技術がなかったため、「山羽式蒸気自動車」には総ゴム製のタイヤが使われました。そのタイヤが走行中に外れたり、変形したりしました。当時の技術ではその問題を解決できず、結局「山羽式蒸気自動車」は失敗に終わりました。

 しかし、山羽虎夫さんは自動車への関心を持ち続け、その後ガソリンエンジンの研究を始めました。それから100年以上の時が過ぎ、日本ではガソリン車だけでなく太陽光で動く車(ソーラーカー)や電気自動車が開発されています。「山羽式蒸気機関車」は、日本の自動車開発の原点となったのでした。

山羽式蒸気自動車(トヨタ博物館)。10人乗りだったと言われています

世界最大の飛行機ボーイング747の大きさを知ろう!

 世界で初めてエンジンで動く飛行機を作ったライト兄弟。かれらが作ったフライヤー号の大きさは、約6.5mだったと言われています。それから飛行機はどんどん大きくなり、1969年に世界で最も大きな飛行機が誕生しました。それが、アメリカの航空会社ボーイング社が作ったボーイング747。その大きさは、長さ約70m、はばが約60mです。

 この大きさを、他のものと比べてみましょう。小学3年生の平均身長を約1.3m(=130cm)とすると、小学3年生54人が横にねて、ようやくボーイング747の長さをこすことができます。また、はばが約60mなので、小学3年生46人がボーイング747で横にねても、まだ余裕があります。ほにゅう類最大の動物と呼ばれるシロナガスクジラでも全長が約30m。2頭並んでもボーイング747の長さには届かないのです。

 数字だけ並べられてもよくわからないというみんなは、ぜひその大きさを実際に見て確認してみてください。機体の全体を見ることはできませんが、航空科学博物館(千葉県)には、実物のボーイング747の断面とその機首部分が展示されています。特に、断面は車や貨物などが収納されている形で展示されているので、いかにボーイング747が大きいかがわかると思います。

ボーイング747 セクション41(航空科学博物館)

ビールだけを運ぶ貨車が活躍(かつやく)した!

 横浜市電保存館(神奈川県)に運転席を除く部分に屋根がない車両が展示されています。しかも、この車両には客席もドアもありません。一方で、車両の中央部分にはアームを取り付けた支柱が設けられ、アームには手動のチェーンブロックがついています。この車両、一体何に使われたのでしょうか。

 実は、この車両はビールを運ぶためだけに作られた貨車なのです。1913年、神奈川県の本牧にあったキリンビール工場の中で、この貨車が使われていました。

 役割が限定されている特殊(とくしゅ)な貨車ですが、ある時その台数が一気に増えました。そのきっかけとなったのが、1923年に起きた関東大しんさいでした。じしんによってこわされた客車をこの貨車に改造したのです。この改造は、しんさいからの復興で役立ったそうです。戦後、この貨車は電動になり、ビールだけではなくレールや敷石(しきいし)などの補修材を運ぶことでもかつやくしたのでした。

 しかし、1972年、横浜市電が廃止になるときにこの貨車もほぼすべてが処分されてしまいました。現在、横浜市電保存館に展示されている1両は、日本でゆいいつ残ったビールを運ぶための車両なのです。

横浜市電保存館に展示されている10号車

運転士になろう!

 電車の運転士は人気のある職業のひとつ。みんなの中にも、運転士になりたい子はいるかな? 電車の運転士になるには鉄道会社に入社して、駅員さんと車掌(しゃしょう)さんの仕事を経験して、さらに国家試験に合格しなければなりません。あこがれの運転士になるためには、長い時間がかかるのです。

 しかし、4時間半勉強するだけで電車の運転士になれる場所があります。それは、碓氷(うすい)峠鉄道文化むら(群馬県)です。このしせつでは、電車の動くしくみを2時間、運転の仕方を2時間半学んで、最後にテストを受けます。そのテストに合格したら受講修りょう証が交付されて、次の日から碓氷峠(うすいとうげ)専用に製造された本物のEF63形電気機関車を運転することができるのです!

 蒸気機関車を運転したいと思っている人は、三笠鉄道村(北海道)に行ってみてください。ここでは、蒸気機関車のしくみや運転の仕方を1時間半学べば受講修りょう証が交付され、その後すぐに蒸気機関車を運転できます。その機関車は、1939年に製造されたS-304号蒸気機関車です。

 鉄道が好きな人にとってうれしいのは、どちらのしせつとも受講修りょう証を見せれば何度でも運転できること。しかし、運転経験ができるのは、18さいになってからです。小さいみんなには、まだちょっとだけ遠い未来。18さいになったら電車や機関車を運転できるように、今はたくさん勉強しましょうね!

EF63形電気機関車(碓氷峠鉄道文化むら)

S-304号蒸気機関車(三笠鉄道村)

木炭で動く車

 自動車はガソリンを燃料にして動きます。しかし、福山自動車時計博物館(広島県)にガソリンとはちがう燃料で動く自動車があります。それは、電気でも太陽光でもありません。その燃料は、「木炭」なのです。

 今から90年ほど前、1930年代の日本ではガソリンが手に入りにくかったのです。第二次世界大戦(1939年~1945年)が始まると、ガソリンの入手はさらにむずかしくなりました。そこで作られたのが木炭で動く「木炭車」です。この車は、木炭を燃やしたときに出るガスを燃料にしており、動くしくみはガソリンで走るふつうの自動車と同じです。しかし、エンジンを動かすためには木炭に火を付けてガスを発生させなければならず、その作業に1時間以上かかるため、「木炭車」は人気がありませんでした。

 戦争が終わってからはガソリンが手に入るようになり、「木炭車」はしだいに少なくなっていきました。さらに、新しい自動車の技術の開発が進んで性能のよい自動車が作られるようになり、「木炭車」は姿を消したのでした。

木炭車(福山自動車時計博物館)

世界記録を残した日本の航空機って?

 日本の航空機の歴史をふり返ると、世界記録を残した航空機が一機だけあります。1937年に、東京帝国大学(現東京大学)の航空研究所が完成させた「航研機(航空研究所試作長きょり機)」です。

 「航研機」は、長きょり飛行の世界記録達成をめざして、帝国陸軍の協力の下で制作されました。これまでに航空研究所が行なってきた研究を元に、設計開始から4年かけて完成させました。

 1938年、「航研機」は千葉県の木更津(きさらづ)飛行場を出発。その後、千葉県の銚子、群馬県の太田、神奈川県の平塚の上空を回り、木更津(きさらづ)飛行場にもどる一周401.759kmのコースを周回して長きょり飛行の世界記録にいどんだのです。その結果、「航研機」は29周して、11,651.011kmの飛行に成功!

 1932年にフランスの飛行機「ブレリオ110」が打ち立てた10,601kmという記録を更新(こうしん)し、世界の航空史にその名を刻みました。

 「航研機」は終戦後にアメリカ軍によって軍用機と見なされてこわされたため、残念ながら現在実物は残っていません。しかし、そのレプリカが青森県立三沢航空科学館(青森県)に保存されており、当時の日本の航空技術の結晶(けっしょう)をこの目で確認することができるのです。

航研機(青森県立三沢航空科学館)

「ダカール・ラリー」にいどんだ車たち

 みんなは、「ダカール・ラリー」を知っていますか。「ダカール・ラリー」は1979年に始まったラリーレイド大会で、8,000km以上を走ります。救援(きゅうえん)の手が届かない砂ばくやあれ地、政情不安定な国へも入っていくことから、「世界一かこくなモータースポーツ」と呼ばれています。モト(二輪)、クワッド(四輪バギー)、オート(四輪)、カミオン(トラック)の4つの部門があり、毎年総勢数百台が参加しますが、完走できるのはその半分以下。過去には、地らいやテロに巻き込まれて負傷した人や亡くなった人もいます。そんな「ダカール・ラリー」に、日本の車もかかんにいどんできました。

 オート部門で最初に快挙を達成した日本車が、三菱オートギャラリー(愛知県)に展示されているプロトタイプ「パジェロ」。1985年出場時に、見事総合優勝しました。その後も、三菱自動車は出場し続けており、2007年までで12回の優勝を果たしています。

 モトやオートよりも一年おくれて始まったカミオン部門では、外国産のトラックの活躍が目立ちます。しかし、1997年、外国のトラックより小型ながらも優勝を果たした日本産のトラックがあります。日野オートプラザ(東京都)に展示されている「日野レンジャー」です。日野自動車も毎年出場を続けています。

 「ダカール・ラリー」のようなモータースポーツは、自動車会社が持つ技術力の高さを示す場でもあります。紹介(しょうかい)した2社だけでなく、世界各国の自動車会社が自社の技術をみがき、かこくなモータースポーツにいどみ続けているのです。

※クワッド部門は、2008年から始まりました。

パジェロ1985(三菱オートギャラリー)

日野レンジャー(日野オートプラザ)

スピード世界一! 超電導(ちょうでんどう)リニア

 1964年に日本で開通した新幹線は、当時、世界初の高速鉄道でした。開通するまでにたび重なる研究・開発・実験が行われ、1963年に時速256kmを記録し、世界最高速度を更新(こうしん)!営業開始後も順調に運行し、高速鉄道の安全性や利便性が広く知れわたりました。その後、世界中で高速鉄道の技術開発競争が激化し、アメリカ、ドイツ、フランスなどの国々が次々と最高速度をぬりかえていきました。そして2007年、フランスの高速鉄道TGV(テージェヴェ)が時速574.8kmを記録!今、実際に営業している高速鉄道では世界最速です。しかし、まだTGVよりも速い鉄道があるのです。それこそが、現在日本で開発・研究が進められているじしゃくの力でういて走る超電導(ちょうでんどう)リニアです。

 2003年、山梨リニア実験線で超電導(ちょうでんどう)リニアMLX01-1が出した最高速度は、なんと時速581km!まだ、実用化はされていませんが、TGVよりも速かったのです。このMLX01-1は、現在リニア・鉄道館(愛知県)に保存・展示されています。

 実際に超電導(ちょうでんどう)リニアの営業運転が始まるのは、2027年の予定。現在、技術者のみなさんがその日をめざしてさらなる研究・開発に取り組んでいます。

※国際鉄道連合 (UIC) では最高速度250km/h以上で走行する列車を高速鉄道と定義しています。

超電導(ちょうでんどう)リニアMLX01-1(リニア・鉄道館)

のりもの博物館のキャラクターたち

 日本全国にある博物館や科学館、美術館にはそれぞれマスコットキャラクターがいます。みんなの知っているキャラクターはいるかな?
のりもの博物館だけでも個性的でかわいいキャラクターがたくさんいます。

 見た目が個性的なのは、物流博物館(東京都)のカーゴ君です。荷物に身を包んだカーゴ君は11さいの男の子。空も飛べるカーゴ君は、まさに“物流”というテーマにふさわしいキャラクターです。コロッとした見た目がかわいいのが、地下鉄博物館(東京都)のまるちゃんとぎんちゃんです。このキャラクターといっしょに地下鉄に乗って館内をめぐる地下鉄博物館のホームページはとてもユニークです。

 自然を大切にしようというメッセージがこめられたキャラクターもいます。郡山市ふれあい科学館スペースパーク(福島県)のエンゼルナとミーニャンです。また、愛媛県総合科学博物館(愛媛県)のカハクンは自然をモチーフにしているキャラクターで、愛媛県のみなさんがデザインと名前を考えて、生まれました。

 他にも、三菱みなとみらい技術館(神奈川県)のテクノくんや消防博物館(東京都)のファイアー君などがいます。

 まだ、他のキャラクターが見つかるかもしれません。自分だけのお気に入りのキャラクターを見つけてみましょう。

カーゴ君
(物流博物館)

エンゼルナとミーニャン
(郡山市ふれあい科学館スペースパーク)

カハクン
(愛媛県総合科学博物館)

テクノくん
(三菱みなとみらい技術館)

ファイアー君
(消防博物館)

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